2018年12月21日

辺野古新基地建設、政府の土砂投入に断固抗議する

辺野古新基地建設、政府の土砂投入に断固抗議する

一般社団法人JELF(日本環境法律家連盟)
理事長 池田直樹

 2018年12月14日、日本政府は沖縄県名護市辺野古新基地建設に向けて、土砂投入を開始した。後戻りのない行為の着手にJELFは断固抗議する。

 1995年米兵少女暴行事件に対する沖縄県民の怒りに押され沖縄普天間基地移設が決められたものの、名護市辺野古への新基地建設という条件が付されたものであった。県内移設は結局のところ米軍基地という大きな重荷を常に沖縄県民に負わせる政策であるため、沖縄県民は一貫してこの辺野古新基地建設に反対の意思を表明し続けてきたのである。

 新基地建設が予定されている、辺野古沿岸、大浦湾は我が国有数の豊かな自然生態系を有し、その豊かさはジュゴンの生息に象徴される。辺野古新基地建設は沖縄のジュゴンを絶滅に追いやり、また、深刻な自然破壊を招くものであることから、JELF(日本環境法律家連盟)は辺野古新基地建設に一貫して反対し、これまで、沖縄県民、米国自然保護団体などと連係し、米国において米国国防総省を被告として沖縄ジュゴン「自然の権利」訴訟を展開してきた。

 日本国政府は沖縄県民の反対の声を一切聞こうとせず、新基地建設をごり押ししてきた。今回の辺野古基地建設のための埋立土砂投入は辺野古の豊かな自然を直撃し、不可逆的な破壊招くものであり、沖縄県民の民意に反し、憲法が保障する地方自治制度の揺るがすもので到底許されるものではない。基地負担を沖縄県民に集中させていることは沖縄県民を不当に差別するものであり、日本国憲法が保障する平等原則に反するものである。

 本件新基地建設に際しては、ずさんなアセスメント手続のもと埋立免許が与えられた。そのレベルの低さは我々が現に進めている「自然の権利」訴訟で入手した米国連邦政府の文書においても明らかにされている。本件埋立行為は公有水面埋立法が求める環境保全の要件を満たさず違法な免許であるというほかはなく、政府は直ちに埋立行為を中止するべきであった。今回の政府による土砂投入は違法な免許のもと世界の宝である辺野古、大浦湾の自然を破壊するもので許されない。

 JELFは日本国政府の土砂投入行為に断固抗議するとともに、辺野古新基地建設を断念し、普天間基地の無条件返還を求めて米国と交渉を進めるよう政府に申し入れるものである。

以上