2022年10月19日

2022年10月19日、『原発運転期間「原則40年」削除方針の撤回を求める緊急署名』に賛同しました!

 一般社団法人JELF(日本環境法律家連盟)は、2022年10月19日、老朽原発40年廃炉市民訴訟の方々が呼びかけておられる「原発運転期間「原則40年」削除方針の撤回を求める緊急署名』に、団体賛同しました。
 この署名に関する呼びかけなど、詳細はこちらからご確認ください。
 → https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdtGmImOFhpObetYPhx4GXyTwHiIBnZmGNnFAjZzNHBzTFnlA/viewform 
 また、老朽原発40年廃炉訴訟の訴訟団HPはこちらよりご確認いただけます
 → http://toold-40-takahama.com/

 提出される署名本文は以下の通りです。

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経済産業大臣 西村 康稔 様
原子力規制委員会 委員長 山中伸介 様 

原発運転期間「原則40年」規定の削除方針の撤回を求めます

 経済産業省は、GX(グリーントランスフォーメーション)の一環として、原発の運転期間の延長を打ち出しました(注1)。それを受け、原子力規制委員会は、10月5日、原発運転期間を原則40年と定めた原子炉等規制法の規定を削除することを容認する意向を示しました。

 私たちはこれに強く抗議し、方針の撤回を求めます。

 福島第一原発事故の際、第一原発1号炉は運転開始40年の特別な検査に合格したばかりでした。

それでも事故は起きました。この悲惨な事故の教訓に基づき、2012年、与野党合意の上で、「原子炉等規制法」に運転期間を原則40年とし原子力規制委員会の審査を経て1回だけ20年延長できる旨の規定が盛り込まれました(注2)。

 老朽原発を動かすことは極めて大きな危険を伴います。運転により原子炉が中性子にさらされることによる劣化に加え、運転休止中も時間の経過に伴い、配管やケーブル、ポンプ、弁など原発の各設備・部品が劣化します。交換できない部品も多く、電力会社の点検できる範囲も限定的です。

また設計が旧いことによる構造的な欠陥も深刻な事故を引き起こす原因となります(注3)。これらのリスクを踏まえれば、運転開始から休止期間も含めて原則40年を運転期間とする現行の規定をゆるめることは到底認められません。

 老朽化に関する規制委の審査は電力会社の申請に基づくものであり、実態は、確認すべきデータを確認しなかったり、事業者に配慮して自ら定めた審査のルールを守らかったりなど、万全とは程遠いものです。

 規制委の山中伸介委員長は、「原発の運転期間は利用政策であり、規制委が意見を述べるべきではない」としたが、果たしてそうでしょうか。原発の老朽化に関する審査にはおのずと技術的物理的な制約があり、運転期間に上限を設けることは規制の一部として極めて妥当な手段です。

 原子炉等規制法を託された規制委はこの規定を設けた立法者意思を遵守する義務があります。利用政策を担当する経済産業省が削除を求めたからといって、それに従うことは、利用政策に規制政策が従属することになります。それは、規制と利用の分離によって、原子力規制を担保するとした、原子力規制委員会設置法の趣旨にも反します。

 政府が原子炉等規制法から、原発運転期間の規定を削除することは、福島原発事故から得た教訓を蔑ろにし、国民を守るべき責務を放棄したものです。山中委員長は就任の際に、職員への訓辞で「『福島を決して忘れない』自分自身の心に誓って下さい」と述べたそうですが、そうであるのならば、規制機関として、原発運転期間の原則40年ルールを守り、むしろ厳格に運用すべきではないでしょうか。

 私たちは、これ以上、老朽原発の運転期間制限をゆるめず、少なくとも現行の原発運転期間の「40年ルール」を厳格に運用するよう強く求めます。

注1)「グリーントランスフォーメーション」とは一般には、産業構造や社会経済を、気候変動対策を含め、環境に配慮した持続可能なものに変革することを指しますが、日本政府の打ち出す「グリーントランスフォーメーション」はそれとは真逆のものです。中でも原発は、核のごみを生み出し、事故やトラブルが多く、コストも高く、ウラン採掘から運転、廃棄に至るまで放射能で環境を汚染し続けます。電力需給逼迫の解決としても不適です。

 注2)20年延長自体も極めて限定的に運用されるはずでした。しかしその後20年延長を申請した原発はことごとく認可されてきました。

注3)原発は個別性が大きく、また複雑な構造のため、特定のプラントについて長年関わり、その特徴や故障・事故等の経歴を知り尽くした熟練の技術者が必要ですが、運転開始40年を超えるような原発では、そのような人材も失われます。福島第一原発事故では、1号機のIC(非常用復水器)の機能を十分理解している者が発電所におらず、初動対応を誤ったことも重大な問題と指摘されています。

 呼びかけ団体(22団体、10月14日時点):
 FoE Japan、原子力規制を監視する市民の会、原子力資料情報室、老朽原発40年廃炉訴訟市民の会、原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)、これ以上海を汚すな!市民会議、脱原発福島ネットワーク、福島老朽原発を考える会、川内原発30キロ圏住民ネットワーク、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会、原子力防災を考える会@茨城、玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会、会津放射能情報センター、女川原発再稼働差止訴訟原告団、さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト、避難計画を案ずる関西連絡会、「避難の権利」を求める全国避難者の会、フクシマ・アクション・プロジェクト、オール福井反原発連絡会、さよなら島根原発ネットワーク、グリーン・アクション、さよなら原発徳島実行委員会